110-008 アイドリングストップのメリット・デメリットを教えて!
 これは今日的な話題であるだけでなく、環境庁と警察庁の見解が違う内容でもあり、どの視点(切り口)で観察するかで違う見方が出てくる内容ですね。
 世間で言われているメリットは、燃料の節約と大気汚染防止が中心です。
 でも、実際にそうした目的が達成されるかどうかを真面目に検討すると、実にアヤしいものがあります。
 というのは、一部の学者が発言しているように、アイドリングストップをおこなうと、信号待ちの間という限られた時間だけで判断すれば、間違いなく排出ガスによる汚染や炭酸ガスの生成が減ることは間違いありません。

 しかし、エンジンストップしている状態ですから、青信号での発進までに、当然それまでよりはちょっとだけ時間がかかるようになってしまいます。
 それは1台あたりの遅れる時間は微々たるものでしょうが、信号待ちをしている列の後まで少しづつ遅れるとかなりの遅れになってしまいます。(全く関係ない例えですが、長い列を作って走っている車の先頭が、ちょっとブレーキを踏むと、後ろのほうでは渋滞になってしまうのと似ているかもしれません)

 そうなると、それまでより渋滞はひどくなりわけです。
 渋滞がひどくなれば、目的地に到着するまでの時間だけでなく、結局信号待ち以外のエンジンがかかっている間の時間も長くなるわけです。

 同じ区間で、所要時間が長くなれば、当然燃料の消費量も増加します。
 燃料の使用量が増加すれば、当然結果として排出ガスも増加することになってしまうのです。

 意外と知られていないことですが、VICSなど渋滞情報をナビゲーション画面に表示して迂回ルートを探索できるのは、利便性だけでなく渋滞を緩和して排出ガス対策により環境悪化防止と地球温暖化防止の大きな柱として事業化したという経緯があります。
 それは同じ台数のクルマが都市を通過するのに、1本の道路に集中して渋滞したほうが、排出ガスも増加するからなのです。

 そして、あまり世間で議論されていないことですが、エンジンはすでに温まっている状態であっても、一度停止したものを始動すると、エンジンを安定させるために、排出ガスをクリーンにする制御を一時的に停止します。
 また、エンジンの始動を容易にするために、燃料も通常の混合比より濃い目の噴射をおこなうので、短時間のエンジン停止は、全く意味がないどころか、短時間であればあるほどマイナスの要因が増加するばかりなのです。

 それどころか、エンジンの始動には、バッテリーの負担が大きく、あまりにも頻繁に繰り返すことによって、バッテリーの消耗を早め、エンジンを回すモーターがかみ合うギア(リングギアと言います)が磨耗して、交換を余儀なくされるケースさえあります。

 というわけで、停車時のみで判断すれば、非常に有効なアイドリング・ストップですが、全体的な流れでみると、信号待ち程度のアイドリングストップ運動は、効果どころか環境に対して大きな負荷をもたらせているように思います。

 したがって現実的には、長時間エンジンかけっぱなしにしているのを止める程度でいいのではないかと考えています。
 余談ですが、こういう話は、どこの業界にもあって、蛍光灯をこまめに消そうとか、牛乳パックをリサイクルしようとかみんな頑張っていますが、その精神は素晴らしいと思いますが、全体の流れで評価すると目的を果たしていないという事例は多いように感じています。

 このへんが高度な科学技術による複雑な生産物の判断の難しいところだと思います。


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